どうも、しーぷです!今回は1bitグラフィックが印象的な名作推理アドベンチャー「オブラディン(Return of the Obra Dinn)」を紹介させていただきます!
インディーズゲームのジャンルで、大きな話題となっている奇才「Lucas Pope」氏、渾身の一作ですので、興味のある方はぜひ読んで下さい!
以下、目次になります。
Contents
オブラディン(Return of the Obra Dinn)とは?
「オブラディン(Return of the Obra Dinn)」は、主人公である保険金調査員を操作し、数年間行方不明となっていた乗船「オブラディン号」の乗員の安否を探っていく推理アドベンチャーゲームです。
本項では、本作の基本情報を紹介いたします。
①:開発はLucas Pope氏
本作は、埼玉県在住のアメリカ人インディーズゲームクリエイター「Lucas Pope」氏が手掛ける二作品目の商用タイトルです。
前作「Papers,Please」は、入国審査官に扮して、入国希望者の書類審査をするという斬新なゲームデザインが評価され、「2014年英国アカデミー賞ゲーム部門(2014 Games Strategy And Simulation | BAFTA Awards)」の「ストラテジー&シミュレーション賞」をはじめとして多くの賞を受賞するに至りました。
また、本作も「2019年英国アカデミー賞ゲーム部門(BAFTA Games Awards winners 2019 | BAFTA)」の「Artistic Achievement賞」、「Game Design賞」を獲得しています。
②:対応機種・価格
本作は2018年10月19日にWindows、MacOSで配信された後、2019年10月18日にはSwitchとPS4でダウンロード専売ソフトとして発売されました。
定価は税込2,250円で、字幕のみですが、日本語にも対応しています。
以下、各プラットフォームのダウンロードリンクを記載します。
- Microsoft Store JP|ダウンロード購入|Return of the Obra Dinn
- Steam|ダウンロード購入|Return of the Obra Dinn
- PlayStation Store|ダウンロード購入|Return of the Obra Dinn
- Nintendo Switch|ダウンロード購入|Return of the Obra Dinn
オブラディン(Return of the Obra Dinn)のストーリーは?
主人公は東インド会社の保険金捜査員となり、「オブラディン号」の乗員乗客全員の安否や名前、死因を特定するのが、ゲームの目的となります。
オブラディン号は60名の乗員乗客が乗っていましたが、航海中に消息を絶ち、数年後に突如、幽霊船として戻ってきました。もちろん、船は無人の状態で、あるのは数体の遺体だけです。
主人公は死体となった人物の「最期の瞬間」を垣間見ることができる不思議な懐中時計「メメント・モーテム」を片手に、この船にいったい何が起きたのか、乗員はどのようにして亡くなっていったのか、生存者はいるのか、等を推理していきます。
オブラディン(Return of the Obra Dinn)のシステムや特徴を解説!
本項では、オブラディンのゲームシステムと特徴について紹介します。
①:1ビットで作られたゲームグラフィック
まず最初に目を引くのが、レトロ感漂う古き良き1bitグラフィックです。3Dで描かれた船内の造形から、乗員乗客まですべて色のない白黒で表現されています。
また、「最期の瞬間」の一幕でしかBGMも流れませんし、基本的には主人公が船内を歩き回ってる足音や、船が軋む音、波音などの環境音だけで、散策中は終始無音なので、ゲームグラフィックも相俟ってホラーチックな不気味な雰囲気を醸し出しています。
②:本作の鍵を握る「メメント・モーテム」
本作の推理を進めるうえで、欠かせない情報源となるのが、遺体に反応して、その人物の「最期の瞬間」の一場面を見ることができる不思議な懐中時計「メメント・モーテム」です。
死ぬ直前の一部始終がフルボイスで再生された後、「最期の瞬間」が人物達が静止した状態で絵画のように表示されます。
最期の瞬間の一場面は色んな角度から見ることもでき、その時に周りに居合わせた人達がどのような行動をとっていたか、なども推理のヒントになってきます。
③:最期の瞬間のリンク
メメント・モーテムで見た最期の瞬間の一幕に、別の人物の遺体が移っている場合は、「最後の瞬間のリンク」が発生し、その人物の最期まで見ることができます。
主人公がオブラディンに降り立った時点では、船内に残っている遺体の数もそこまで多くはないのですが、遺体から別の遺体へと次々とリンクしていくことで、多くの乗員乗客の最期を見ることができるようになります。
オブラディン(Return of the Obra Dinn)のプラス評価点
ここでは、オブラディンをプレイして良かった点等を紹介させていただきます。
①:オブラディン号船内に終始したシンプルなゲーム性
本作は、オブラディン号の乗員乗客の安否を探ることだけがゲームの目的なので、舞台もオブラディン号船内に終始しています。
あまりにシンプルすぎて、ボリュームが心配になる人もいるかもしれませんが、「メメントモーテム」があることによって、複数の時間軸に飛ぶことができるので、舞台が狭いにもかかわらず、乗員乗客60名を特定するだけの十分な情報が詰まっています。
自らが事件に巻き込まれて色々な体験をしながら、選択肢を決めていく従来のアドベンチャーと違って、本作は当事者でもない人物が主人公ですし、しかも得られる情報はどれも断片的で時系列も滅茶苦茶です。
これで舞台が無駄に広い場合は、流石に情報整理を面倒になるため、そういう意味でも、プレイヤーが推理に没頭できるよう、計算されてシンプルに作られています。
②:推理アドベンチャーとしての質の高さ
乗員乗客60名の安否、名前、死因を特定するため、謎解き要素は十分なボリュームがあります。
特定する順番もプレイヤーに委ねられていますし、最期の瞬間を全部見てから考察するのも、途中で人物特定に入ってもOKという自由度も強制感がなくて良いです。
しかし、これはあくまでプレイヤーの目線であって、製作者側の目線で考えると、多種多様の国籍の60名もの人物が各時系列の中で、それぞれどのように行動しているかを整理しつつ、矛盾がないように配置しなければいけません。
それでいて、プレイヤーが人物を特定できるよう適切なヒントも与えなければならないことを考えると、かなり難易度の高いゲーム設計になります。
③:美麗なグラフィック
本当に綺麗です。特に「最期の瞬間」のシーンは迫力もさることながら、「レトログラフィックってこんなに美しかったのか」と、驚かされる程、綺麗です。
人知れず亡くなった人や、生還者もいるので、乗員乗客全員の最期の瞬間が描かれているわけではないですが、もともとが60名も登場人物がいるゲームですし、当然、最期の瞬間のシーンもたくさんあるので、かなりの見応えがあります。
また、ゲームの設定上、全て死亡シーンになり、死に方はどれも凄惨なものですが、白黒のレトログラフィックのおかげで、そこまでグロデスクに感じない点も評価ポイントの一つです。
④:補助機能が充実している
インディズゲームの中には、作りがシンプル過ぎて、逆に不便に感じる作品も多いのですが、本作は推理をサポートしてくれる補助機能が充実しているので、プレイ環境は概ね快適です。
最期の瞬間で人物を画面中央に合わせてズームすると、その人物の顔と一致するスケッチ資料が自動で表示されたり、どの時系列で初出し、いつ死んだかもわかるようになっています。
オブラディン(Return of the Obra Dinn)のマイナス評価点
本項では、逆にオブラディンをプレイして悪かった点を記載していきます。
①:グラフィックがわかりにくい場面がある
本作の最大の魅力である1bitグラフィックですが、同時に細かい描写がわかりにくいというデメリットもあります。
白黒にしては、よく表現されてはいるものの、炎や爆発といったエフェクトが見にくかったり、人物の手元部分がわかりにくかったりします。
その為、死因の特定のところで、撲殺なのかナイフによる刺殺なのか判断がつかず、死因をいくつか総当たりする必要がありました。
また、死因の件に関していえば、他に、死因の選択肢のバリエーションが豊富すぎて混乱し易い、というマイナス点もあります。
②:「最期の瞬間」で人物を選択しにくい
メメント・モーテムで見ることができる最期の瞬間の一場面ですが、シーン中の人物をズームして選択すると、その人物がどこの場面で登場したかなどの情報が記載されているページに飛ぶことができるのですが、その人物をズームして選択するのが、非常にやりにくいです。
特に二人以上が揉みあいになっていたり、距離が離れていると、なかなか選択されなくて、煩わしさを感じる場面が何度かありました。
③:一部設定に説明不足な点も
本作には、謎の懐中時計メメントモーテムをはじめ、不思議な貝殻や箱が登場しますが、それらの詳細についてはほとんど明かされません。
あくまで主人公は乗員の安否を特定するのが仕事とはいえ、少々もやもやが残ります。
④:死のリンクの演出が遅い
最後の瞬間から、別の人物の最期の瞬間に繋がっていくアイディアは非常に面白いものがありますが、その死のリンクの演出(メメントモーテムから煙のようなものが現れ、最期の瞬間の場所まで導いてくれる)が遅いです。
オブラディン(Return of the Obra Dinn)をプレイした感想
本作は紹介映像を目にしてからから、ずっと気になっていた作品でしたし、世間の評価も高かったので、ずっとプレイする機会を窺っていた作品でした。
自ずとかなりの期待を持った上でプレイを開始したわけですが、まさに期待通りの良作でした。
ここでは、実際にオブラディンをプレイした感想を述べていきます。
①:クリアにかかる時間について
本作では、出来る限り当てずっぽうな推理は避け、しっかり考察しながらゆっくりとゲームを進めていったので、クリアは15時間かかりました。
途中ミスリードでどん詰まりしたこともあり、想像以上に時間がかかってしまいましたが、プレイスタイルによっては10時間を切ることも可能なぐらいの程よいボリュームとなっています。
②:絶妙な難易度
本作は、3人分の名前と死因・安否が特定されるたびに、答え合わせをしてくれて、情報が確定するので、完璧な推理ができていなかったり、勘でも、ある程度ゴリ押しすることが可能です。
しかし、少なくとも3人分の情報は一致させる必要があるので、ファミコン時代のアドベンチャーのようにとりあえず選択肢を総当たりすれば解決というような邪道は通用しません。
そのため、そこそこ推理しつつ、でも詰まらずにサクサクプレイしたい人であれば、曖昧な部分でもとりあえず情報だけ入力して「答え合わせ」で確定させるプレイングも可能となり、このやり方であればどん詰まりすることもほぼありません。
勿論、納得いくまで推理して、自信のあるものだけ情報を入力していくプレイスタイルであれば、相応の手応えを感じることもできます。
そういう意味でも本作は、推理アドベンチャー初心者から玄人まで万人が満足できる絶妙な難易度だと言えるでしょう。
③:雰囲気の作り方が秀逸
本作をプレイしていて一番の魅力と感じたのは、やはりオブラディンにしかない独特の雰囲気です。
サバイバルホラーゲームによくあるような第一者視点で、船内を探索しながら、推理していく没入感は相当なものがあり、1bitグラフィックの持つ美しさと不気味さが、更にそれを惹きたててくれます。
最期の瞬間がこれまた迫力満点で、脳裏に焼き付いてしまうものですから、オブラディンをプレイした後の数日は、暗い部屋を歩くいていると、急に誰かが自分を襲ってくるのではないか、という恐怖を感じる程でした。
オブラディン(Return of the Obra Dinn)の画像とスクリーンショット7選!
ここでは、オブラディンプレイ時に撮影したスクリーンショットを紹介します。個人的に好きな場面を厳選してみたので、少しでも作品の雰囲気が伝われば幸いです。

処刑のシーン

爆死のシーン

謎の猿

あるキャラクターの無双シーン

謎の光

牛の最期

画家のキャラクター
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました!
本作は、終始船内だけをうろつき、殺害現場を見させ続けられるという、改めて考えると、かなり奇抜なゲームデザインとなっています。
しかし、その分プレイ時の煩わしさがなく、とにかく乗客の安否だけに集中できるという、無駄のない作りとも言えます。
推理アドベンチャーとしての謎解きの質も高いので、推理ゲーム好きであれば、是非ともやっていただきたいタイトルです。
Lucas Pope氏の3作品目にも当然期待がかかりますが、「オブラディン(Return of the Obra Dinn)」自体、同氏ほぼ一人で作り上げたといっても言いような作品なので、製作には4年半もの月日が費されたとのこと。